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EU理事会と欧州議会は、2024年1月1日よりEU排出権取引制度(EU-ETS)を海運業に適用する合意に達しました。
2024年2月1日更新
EUは「海運会社」を列挙し各管理当局を明記した、最新の施行法案を発表しました。
船舶輸送の場合、当要件は2024年1月1日から開始され、EU排出枠(EUA)の期限は9月30日まで延長されます。
こちらよりEUの公式文書をお読みください:
2023年5 月10日の欧州議会および理事会の規則(EU)2023/957 EU排出権取引制度に海上輸送活動を含めること、および追加の温室効果ガスの排出量および追加の船種からの排出量の監視、報告、検証を規定するために、規則(EU)2015/757を修正。
2023年5月10日の欧州議会および理事会の指令(EU)2023/959欧州連合加盟国内での温室効果ガス排出権取引制度を構築する指令2003/87/ECおよび欧州連合の温室効果ガス排出枠取引制度のための市場安定準備金の設立と運用に関する決定 (EU)2015/1814を修正。
2023年11月22日の欧州委員会実施規則(EU)2023/ 2599 海運会社に関する管理当局による、海運会社の管理に関する欧州議会および理事会の指令 2003/87/ECの適用に関する規則を制定
欧州議会および理事会指令 2003/87/ECに従って海運会社に関する管理権限を指定する海運会社のリストにおける決定事項の実施 –2024/411 – EN – EUR-Lex (europa.eu)
海上輸送に関する要点は以下の通りです。
温室効果ガス
EU-MRV対象となる温室効果ガスは次のとおりです:
2023年以降は二酸化炭素(CO2)
2024年以降は、二酸化炭素 (CO2)、メタン (CH4)、亜酸化窒素 (N2O)を報告対象とします。
EU-ETSの対象となる温室効果ガスは次のとおりです:
2024年以降は二酸化炭素(CO2)
2026年以降は、二酸化炭素 (CO2)、メタン (CH4)、亜酸化窒素 (N2O)を報告対象とします。
対象となる船舶
発効すると、EU-ETSは総トン数5,000トンを超える船舶に適用されます。2025年1月1日から、EU-MRV は以下にも適用されます:
総トン数400トンを超える一般貨物船
総トン数400トンを超えるオフショア船
これらの船舶が将来的にEU-ETSに含まれるかどうかは、2026年にEU委員会によって検討される予定です。
海上輸送活動への適用範囲
排出枠の割り当ておよび償却要件の適用は、次のように航海に適用されます:
EU加盟国の寄港地を出発しEU加盟国以外の寄港地に到着する航路運航における排出の50%
EU加盟国以外寄港地からEU寄港地に到着する航路運航における排出の50%
EU加盟国の港湾間の航路運航における排出の100%
EU加盟国の港湾停泊における排出の100%
2028年までに、IMOがパリ協定の目的に沿って、少なくともEU-ETSと同等のレベルまで海上輸送からの温室効果ガス排出量を削減するための世界的な市場ベースの措置を採用しない場合、EUはEU域外の航路運航に50%要件を引き上げることを検討するでしょう。
海上輸送の要件の段階的導入:
海運会社は、以下のスケジュールに従って排出枠を支焼却させる義務があります。
2024年には報告された検証済み排出量の40%
2025年には報告された検証済み排出量の70%
2026年およびその後毎年は報告された検証済み排出量の100%
排出量の償却
毎年9月30日までに、海運会社は前暦年の排出量に関して必要な排出枠を償却しなければなりません。
「海運会社」の定義
船主または船主から船舶の運航に関する責任を引き継いだ管理人や裸傭船者などのその他の組織や人物であり、そのような責任を引き受けるにあたり、ISMコードによって課されるすべての義務と責任を引き継ぐことに同意した者とします。
欧州委員会実施規則(EU)2023/2599では、船主がEU ETS準拠の責任を管理者または裸傭船者に移譲するには、明示的な委任が必要であると明示的に述べられています。
管理者や裸傭船者など、他の組織または個人に対する船主からのEU ETS義務に従うことを示す文書は、管理当局に提供されなければなりません。 実施規則の第1条では、その文書には特定の情報が含まれ、両当事者が署名する必要があり、文書が複写の場合は公証人(または同様の者)によって正謄本として証明される必要があることが定められています。必要な文書が管理当局に提供されない場合、ISMコードに基づく責任が他の企業実体にあるかどうかに関係なく、船主が引き続き責任を負います。したがって、裸傭船当事者または船舶管理契約の目的で、船主がEU ETS準拠の責任を裸傭船者または船舶管理者のいずれかに移譲を希望する場合は、関連する契約に明示的な文言を含めるか、別の契約に定める必要があります。
ETS費用を海運会社から他企業に移す
海運会社は引き続き、排出枠手当および全体的なコンプライアンスに対する責任を負います。
ただし、EU 加盟国は、契約上の取り決め(例: 傭船者)に従って、燃料の購入または船舶の運航に対する最終的な責任が海運会社とは異なる事業体によって引き継がれることを保証するために必要な措置を講じるものとする場合、海運会社は排出枠の償却から生じる費用をその事業体から償還する権利を有します。
「船舶の運航」 とは輸送される貨物または船舶のルートと速度を決定することを意味します。
これがEU加盟国によってどのように執行されるかは現時点では不明なため、排出枠の費用(および引当金)に対する責任を明確に割り当てる傭船契約に明示的な条項が含まれることが望ましいと考えられます。
「寄港地」の定義
船舶が航海中に途中寄港する港湾:
貨物の荷役、旅客の乗降、または
オフショア船が乗組員を救援するために立ち寄る港湾
以下の目的での停泊は寄港とはみなされません:
給油、物資の入手、オフショア船以外の船舶の乗組員の救援、乾ドック(ドライドック)に入る、または船舶や船舶設備の修理を目的とした立ち寄り。
船舶が援助を必要としているか遭難船であるために港湾に立ち寄る。
港外で行われるSTS方式
悪天候からの避難または捜索救助活動で必要になった場合のみの目的での立ち寄り。
リストに挙げられた隣接するコンテナ積替港へのコンテナ船の立ち寄り。(参照: 積替港)
「航海」の定義
航海とは寄港地を発着する船舶の移動を意味します。
積替港
2023年末までに、EU委員会は欧州域内に隣接する(つまりEU域外だがEU加盟国港湾から300マイル以内)のるコンテナ積替港のリストを公開する予定です。
海運会社は、こうした積替港からEU域内への排出量に関する排出枠の償却に加え、リストに挙げられた積替港までの航海で排出量の50%を償却しなければなりません。
このリストは2 年毎に更新され予定であり、EU-ETSと同等の措置を実質的に適用している第三国にある港湾は含まれません。
管轄当局
海運会社に関する管理権限は以下のいずれかとなり、各海運会社に管理権限を割り当てる実施決定が現在公開されています(上記のEU公式文書を参照)。
EU加盟国に登録されている海運会社の場合、管理当局は海運会社が登録されている加盟国となります。
EU加盟国に登録されていない海運会社の場合、管理当局は、過去4年間の監視年間に当該海運会社が実施した航海による推定寄港回数が最も多い加盟国となります。
加盟国に登録されておらず、過去4年間の監視期間中に対象範囲に該当する航海を実施しなかった海運会社の場合、管理当局は、当該海運会社の、最初に到着した/最初に航海を開始したEU加盟国となります。
氷級(アイスクラス)船舶
海運会社は、2030年12月31日までに、氷級IAまたはIA Super、若しくは同等の氷級船舶からの検証済み排出量よりも5%少ない排出枠を償却することができます。
例外
2030年12月31日まで、EU加盟国は以下に関して免除を申請できます:
旅客船(クルーズ客船を除く)による航海、および本土との道路や鉄道の接続がない島の港湾とその同じ加盟国の管轄下の港湾との間のRoPax船による航海、それらの航海に関連した当該船舶による港湾内での活動からの航海。2022年に入手可能な最新の最良のデータによると、島の常住人口は20万人未満となります。委員会は島と関連する港湾リストを公表し、そのリストを最新の状態にしておくものとします。
2つの要求加盟国を結ぶ国境を越えた公共サービス契約または国境を越えた公共サービス義務の枠組みで実行される旅客船またはRO-PAX船による航海、およびそれらの航海に関連する当該船舶の港湾内での活動。
2030年12月31日までは、以下の航海について排出枠の償却義務はありません:
EU加盟国の最外地域に位置する港湾と同じ加盟国の港湾間の航海用。これには同じ加盟国の最外地域内と最外地域間の港湾、およびそれらの航海に関連する当該船舶の港内での活動が含まれます。
温室効果ガス排出が捕捉され、製品内で永久に化学結合するために利用され、製品の耐用年数が終了した後に行われる通常の活動 (二酸化炭素回収) を含む、通常の使用時にそれらが大気中に放散されないようにします。
EU-ETSに基づく罰則
名指し非難 (name and shame)– 加盟国は十分な排出枠を償却する要件に違反した海運会社の名前を公表することを確実にします。
金銭的罰金 – 加盟国は、毎年9月30日までに十分な排出枠を償却しない海運会社が超過排出罰金の責任を負うことを確実にします。海運会社が排出枠を償却できなかった場合、償却できなかった排出量について、CO2排出量1トン当たり100ユーロの罰金が科されます。超過排出罰金の支払いは、海運会社が翌年暦年に関する排出枠を償却する際に、超過排出量と同額の排出枠を償却する義務を免除するものではありません。
追放 – 船舶が2年以上連続した報告期間にわたって償却要件を遵守しなかった場合、寄港地の加盟国の管轄当局は、当該企業に意見書を提出する機会を与えた後、追放命令を発令することができます。これは、欧州委員会、欧州海上安全庁 (EMSA)、他の加盟国および関係する旗国に通知されるものとします。このような追放命令の発令の結果、当該船舶が掲げる旗を有する加盟国を除くすべての加盟国は、会社が償却義務を履行するまで当該船舶の入港を拒否するものとします。船舶が加盟国の旗を掲げており、その港湾に入港するか港で発見された場合、当該加盟国は、関係会社に意見書を提出する機会を与えた後、当該会社が義務を履行するまで船舶を拘留するものとします。当該加盟国は、関係会社に意見書を提出する機会を与えた後、海運会社が義務を履行するまで船籍拘束命令を発令することができます。委員会、EMSA およびその他の加盟国に通知されるものとします。このような船籍拘束命令の発令の結果として、すべての加盟国は追放命令に従うのと同じ措置を講じるものとします。